マイクロ特許事務所

弁理士 博士(化学) 小池誠
日本弁理士会等役職;令和5年度常議員、広報センター会誌編集部、関東会相談室運営委員会、関東会東京委員会;日本弁理士協同組合総代;日本知的財産仲裁センター(調停人・仲裁人・判定人候補者)
所属学会;日本工業所有権法学会、デザインと法学会、日本被害者学会、日本化学会、電子情報通信学会、情報処理学会、人工知能学会、日本認知科学会、日本神経回路学会、日本神経科学学会、日本生理学会、日本比較生理生化学会、日本社会精神医学会

2019年05月

日本社会精神医学会とICD-11
 
日本社会精神医学会には大学医学部精神医学教室の教授、精神医学の臨床をしている医師などが所属しているのだが、2019228日及び31日に京王プラザホテル(東京都新宿区西新宿)で第38回日本社会精神医学会が開催された。
 
38回日本社会精神医学会に出席したときに、この学会の会員になるよう申し込んだ。すると、今日、524日に日本社会精神医学会雑誌が送付されてきた。どうやら無事に日本社会精神医学会の会員になれたようである。
 
それにしても日本社会精神医学会の会員になれて嬉しい。喜びがこみ上げてくる。
 
この数年、マイクロ波は一定の条件で聞こえると繰り返し主張していたが、そのような主張をする人が精神医学に関する学会の会員になったということになる。そのうちにマイクロ波聴覚効果と電波妄想の関係などについて日本社会精神医学会で発表することができれば、と考えている。
 
さて、日本社会精神医学会雑誌、第28巻、第2号(2019)は、国際疾病分類第11回改訂版(ICD-11)について特集している。
 

ICDとは、TheInternational Classification of Diseases and Related Health Conditionsの略語である。

 
疾病に関する統計データは世界各国が収集しているが、このような統計データを国際比較する前提として、疾病に関する分類が世界各国で同じであることが求められる。そこで、WHOが主導して疾病分類が国際的にハーモナイズされている。
 
ICD-101990年に刊行されているが、約30年を経て改訂される予定であり、20186月に世界保健機構WHOICD-11を公表した。このICD-11は暫定版であり、20195月のWHO総会で承認されると、ICD-11の最終版ということになる。
 
国際疾病分類は精神疾患に限定されているものではないのだが、日本社会精神医学会雑誌、第28巻、第2号(2019)は精神疾患の改訂に限定して取り上げており、ICD-11について10前後の論文が掲載されている。精神医学の臨床で大変、参考になる。
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改正前の民法90条は、「公の秩序又は善良の風俗に反する事項を目的とする法律行為は、無効とする」と定める。
 
すると、法律行為の内容のみを問題にしていると解釈することもできなくはない。
 
しかしながら、判例及び学説は,法律行為の内容だけではなく法律行為が行われた過程その他の諸事情を考慮して,法律行為が公序良俗に反するかどうかを判断している。
 
そこで、判例及び学説を条文上明確にするため,「事項を目的とする」という文言を削除することになった。
 
即ち、平成29年改正後の民法90条は、「公の秩序又は善良の風俗に反する法律行為は、無効とする」と定める。
 
なお、今回の民法改正を検討する過程において、公序良俗違反の具体化として、暴利行為に関する判例を明文化した規定を設けるか否か検討されたが、明文化は見送られた。
 
文献
民法(債権関係)の改正に関する論点の検討(1)
法務省公式サイト
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ひとつ前のブログ記事で意思能力について言及しました。

ところで、平成29年に民法改正が成立しましたが、意思能力に関して、改正の前後で異なります。

平成29年改正前、民法は意思能力に関する規定は設けられておらず、意思能力については判例、学説に委ねられていました。大審院明治38年5月11日判決が21世紀の現代になっても判例として機能しており、意思能力が欠ける者がした法律行為は無効とされています。

これに対して、平成29年改正により、法律行為の当事者が意思表示をした時に意思能力を有しなかったときは、その法律行為は無効とする旨の規定が追加されました(民法3条の2)。

即ち、意思能力に関する規定の有無が異なるだけであり、意思能力に関する判例が変わるものではないとされています。

権利義務に関する能力については、権利能力、意思能力及び行為能力が必要とされています。権利能力及び行為能力については、民法に規定されていたのですが、平成29年民法改正に伴って、権利能力、意思能力及び行為能力のすべてについて民法に規定されることになりました。
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刑法134条は医師などに守秘義務を定めていますが、業務で知った秘密を正当な理由がないのに漏らした場合に守秘義務に違反することになります。

一方、医学専門雑誌には症例報告が掲載されていて、患者さんの病状が詳細に記載されています。患者さんが症例報告に同意しているときには、このような症例報告は守秘義務違反になりません。条文上は、正当な理由があるので、守秘義務に違反しないということになります。

ここで、同意の有無ですが、日本は意思主義を採用しているので、患者さんが症例報告に同意するという意思表示をすれば、同意したということになります。この同意は、書面でなくても、口頭でも成立します。

法理論としては、医師が患者さんに対して、「この症例を医学雑誌に掲載してよいですかとか」と質問して、患者さんが「いいですよ」と応えたときには、意思表示が合致して、同意が成立したことになります。口頭であっても、同意は成立します。

しかしながら、同意した事実があるか否か争いになったとき、口頭で同意したという事実は立証できるとは限りません。ICレコーダーで会話を録音していたときには、同意した事実を立証することができますが、通常、医師が患者さんとの会話を録音しませんよね。また、仮に録音したときには、何か職業倫理上の問題に発展するかもしれません。

すると、通常、口頭でなく、書面に署名することで、同意した事実を立証できるようにします。

ところで、精神疾患、認知症などに関する症例報告では、別個の問題があります。有効な行為をするためには、意思能力が前提とされるのですが、精神疾患、認知症などの患者さんに、意思能力があるかという問題があります。本稿では守秘義務をテーマにしているので、精神疾患、認知症の患者さんが症例報告に同意する意思を表示した場合であっても、精神疾患、認知症などの患者さんに意思能力があるかという問題になります。

意思能力とは、意思表示をするときに自己の行為の結果を判断する能力とされており、意思能力がない者が法律行為をしても、その法律行為は無効とされています。すなわち、精神疾患、認知症などの患者さんが症例報告に同意する意思を表示した場合であっても、患者さんに意思能力がないときには、その同意は無効になります。

ちなみに、意思能力と似ているが異なる概念に行為能力があります。いずれにしても、意思能力、行為能力は民法の基本概念になります。

これに対して、心神喪失、心神耗弱は民法でなく、刑法になります。
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今日、5月9日、木曜日に弁理士会館で日本弁理士会広報センター会誌編集部の会合がありました。会誌編集部は毎月、雑誌パテントを発行する業務を担当していますが、複数の班に分かれて業務を分担しています。今月の雑誌パテントはこの班が担当し、来月の雑誌パテントは別の班が担当し、再来月は更に別の班が雑誌パテントを担当しています。
 
一方、弁理士は日本全国に散在しており、これに伴って、日本弁理士会に関東支部、関西支部、東海支部、九州支部などの支部が設立されています。
 
今年度は、ある班に関西支部の弁理士が集中し、他の班に東海支部の弁理士が集中し、多くの班に関東支部の弁理士が集中しています。
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